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コウノトリと共に育てるおコメって?農薬を抑えた自然派米の魅力に迫る!

本記事では、コウノトリと共生する農法が生み出す自然派米の特徴や兵庫県豊岡市での取り組みから世界的評価までを詳解します。農薬・化学肥料を抑え、生きものが息づく田んぼづくりの秘訣と「コウノトリ環境保全に取り組む農業」のメリット・課題を知り、おいしさと安心を兼ね備えたお米づくりの全貌を把握しましょう。
兵庫県豊岡のお米なら、コウノトリが舞い降りる「なかのたにさわやか村」
コウノトリを野生復帰させたお米づくりとは?
コウノトリの生息環境を再現した水田で、農薬や化学肥料を抑えて栽培された自然共生型のお米です。従来型の水田とは異なり、湿地の機能を活かしながら田んぼ全体を生きものが息づく場に整備しています。結果として、風味豊かで安心・安全な自然派米が収穫できます。
なぜ「コウノトリ」がお米つくりに関係しているのか
コウノトリは本来、沼や湿地の生きものを主食とする鳥です。日本国内では一時激減しましたが、兵庫県豊岡市からコウノトリも安心して暮らせる環境作りがスタートしました。田んぼをコウノトリの餌場やねぐらとして整備しながら、生物多様性を取り戻す農法が確立されました。
生物多様性の復活に向けた取り組み
コウノトリが生きていくためには、コウノトリの好物であるドジョウやタニシ、カエルなども住みやすい環境にすることが必要です。田んぼで多くの生き物が生息できるために「農薬に頼らない米作り」を行い、多種多様な水辺の生物が共存し、田んぼ全体の健康度が向上します。農薬使用量や化学肥料の使用を大幅に減らすことで、消費者にとっても安心できる品質を保証しています。
コウノトリで環境保全するお米農法の発祥地
兵庫県豊岡市とコウノトリ
かつて国内で野生絶滅したコウノトリを再び田んぼに呼び戻すため、兵庫県豊岡市では1989年に人工繁殖した個体の放鳥を開始しました。そのころから始まったのが、化学肥料や農薬を極力抑えた稲作技術です。里山の水辺環境を再生し、エサとなるドジョウやタニシなど水生生物を豊富に育むことで、コウノトリが安心して飛来・営巣できる田んぼづくりを実践しています。
この農法では、代かきや草刈りのタイミングを季節と生態系のリズムに合わせ、機械化を適度に取り入れながらも人手で生きものの生息環境を守る工夫を重ねています。その成果として、現在では毎年十数羽のコウノトリが繁殖地に戻り、豊かな生物多様性を象徴する風景が広がっています。
世界にも認められラムサール条約の湿地に
一度は絶滅してしまったコウノトリの「野生復帰」をキーワードに、多様な主体が関わりながら豊かな生態系の創造・再生を目指す取組みが認められ、2012年にはラムサール条約湿地として登録され、環境保全活動がさらに加速していきます。
環境にやさしいコウノトリのお米の秘密
生きものが住める田んぼの工夫
コウノトリが安定して餌を得られる環境をつくるには、田んぼに多様な生態系を復活させることが欠かせません。コウノトリがエサを採れるように田んぼに冬水を張る「ふゆみずたんぼ」や中干しをしない「中干しなし」栽培を行い、エサとなる生き物を守ります。
水路と田んぼをつなぐ「水田魚道」
水田魚道は水路と田んぼをつなぎ、魚や小動物が行き来できる道としての役割を果たしています。水路との間に落差が生じた水田では、魚が産卵のために水田に出入りしづらいため、水田と水路を人工的な水路(水田魚道)でつないで、生き物が育ちやすい水環境が整えられます。
湿地再現エリアの整備
今、全国的に野生生物の被害や担い手不足などでお米作りをしない田んぼが増えています。お米作りをしなくなった田んぼは、時間がたつと草が生い茂しげり、陸地になっていくので、湿地が好きなコウノトリのエサ場としての機能が失われてしまいます。そんなお米作りしなくなった場所を水田ビオトーブとして活用し、生きものがくらせる環境作りに貢献しています。
「コウノトリのお米」のメリットと課題
メリット
生物多様性の向上
コウノトリをはじめとする野生動物が住みやすい環境を整えることで、田んぼの周辺に多様な昆虫や水生生物が戻ってきます。これにより自然のバランスが保たれ、化学合成農薬に頼らない持続可能な農業が実現します。
土壌の健康改善
化学肥料を抑え、有機質堆肥や間作作物を活用することで、微生物が活発に働く土壌が育まれます。結果として田んぼの保水性や通気性が向上し、長期的に安定した耕作が可能になります。
ブランド価値の向上
「コウノトリ育むお米」は希少性と環境保全のストーリーを背景に持つため、市場ではプレミア価格を実現しやすい高付加価値米として評価されている、たくさんの地元の生産農家が作りJAが販売するお米です。消費者にも環境志向の高まりと共に支持されやすい点が魅力です。一方、このサイトでご紹介する六方銀米(ろっぽうぎんまい)は、なかのたに地区の中谷農事組合法人が村と一体になって栽培し、独自農法で実に9割もの減農薬でつくる特別栽培米コシヒカリです。どこで誰がどのようにして作っているかがわかるお米で、比較的に安価で、安心安全を全国にお届けしています。
地域活性化
豊岡市などで進むコウノトリプロジェクトは、見学ツアーやブランド米の直売所を通じて観光誘客を生み、地域経済を盛り上げるきっかけとなっています。地元の誇りとして住民の参画意識も高まります。
課題
生産コストの増加
手作業での草取りや水管理が増え、機械化による省力化が難しい場面もあります。その結果、化学肥料や農薬を多用する通常栽培と比べてコストが上昇しやすいという問題があります。
収量の安定性確保
化学肥料を減らすことで初期の生育が遅れるケースがあり、天候や病害虫の影響を受けやすくなります。経験豊富な栽培管理や異なる品種の導入など、収量変動リスクへの対応策が不可欠です。
気象変動への対応
豪雨や干ばつなどの極端な気象条件に弱い側面があります。水管理設備の強化や水田の排水路整備、分散栽培など、気候変動対策を含む総合的なフィールド管理が求められます。
まとめ コウノトリが生息できる環境のお米を未来につなげるために
コウノトリが生息できるお米は、農薬を抑えた田んぼで多様な生きものを育みつつ、豊岡市やJAたじまが推進する取り組みで、品質と安心を両立しています。消費者が地元産を選ぶことで、生態系保全と地域活性化を支えています。持続可能な農法を守りつつ、未来の世代にも美味しいお米を届けましょう。



